40年目の春に

40年目の春に Y君からのメッセージ
2018年の桜は思いのほか早く咲き誇り、今年もまた日本に入学の春がやってきた。
早いもので1978年の僕らの越高入学から数えてちょうど40年。
これから始まる新しい生活への期待に胸膨らませた季節の記憶は今も強烈だ。

何事もおぼつかない入学後の生活の中、自己紹介のパターンを真似たり
提出書類の記入要領を覗き込んだり、最も頼ったのは出席番号が前後する八島。
その後の高校生活の中で、彼がけっこうなやらかしキャラだと言うことが
わかっていくのだが、不安な時期にインプットされた刷り込みは強烈で、
頼れる兄貴分的な印象を未だ彼に抱くのは、きっと誰にも増してだと思う。

同じ頃、右隣の席に居たのは関さん。
ぎこちなさが抜けずまだよそよそしい男子と違い、入学式直後からまるで中学時代
からの知り合いのように打ち解けている女子の不可思議なこと。そんな彼女らが
繰り出すガールズトークに聞き耳を立てられるのは、出席番号後方男子の特権。

所ジョージのコンサートに紙テープ代わりのトイレットペーパーを持参したものの
入場時に没収という憂き目に遇った関さんのトークは、未だ記憶にある。

所さんの肩の力の抜けたライフスタイルは、今でこそ憧れでもあるのだけれど、
当時自分は彼が嫌いだった。
それはオールナイトニッポンにおけるキャンディーズファイナルカーニバルの実況で、
彼女らの歌声をかき消すかのような、うるさい叫びをしていたからに他ならない。

そうなのだ。1978年4月の記憶は、どうしてもキャンディーズの解散とシンクロする。

話が横道に逸れたので入学式直後の話に戻る。
自分の左隣に座っていたのは戸塚。
生粋の軽音ボーイだった彼と自分が、音楽の話で噛み合うようなことはその後も
ほぼなかったのだが、唯一印象に残っていることがある。

それは、キャンディーズのファイナルカーニバルの話から、彼女らのバックバンドで
あったMMPが奏でるサウンドに話が及んだ時のこと。

中学生程度のファンにとって、よく知ったるは聴きなれたレコードやテレビ局の
楽団が奏でるありがちな音。
加えて、ファイナルカーニバルでは、CBSソニーがステレオ録音に失敗したとされ、
当時発売されたライブLPは、厚みのない何とも薄っぺらい音となっていたのだ。
そんなわけで彼のサウンド論に対しては、その妙な熱さにドン引くしかない。

さて、キャンディーズの解散からそろそろ40年になろうと言う2015年。
ファイナルカーニバルの全容を収めたDVDがようやく発売された。

この商品ではソニーが所有するステレオ音源は使われず、TBSがテレビ映像と同期
録音したモノラル音源が使われている。
ところがこれをモノラル音源と侮るなかれ。最新技術によるリマスタリング処理が施され、
下手なステレオ音源を凌駕する音となっているのだ。

モノラル音源をどう処理すればこうなるのか。
キャンディーズのボーカルとスッキリ区別された迫力ある演奏。ロックのテイストに
ホーンを加えた音の豊かさ。レコードとは違ったハイテンポで挑戦的なアレンジ。
メドレーとして繋がれたヒット曲の心地よさ。

「あのとき戸塚が語っていたMMPのサウンドって、そうかこれだったのか…」

40年近くの歳月を超えて、ようやくあの時の会話が成立したことになるのだが、
残念なことに、彼にそれを伝えようとしてももう叶わない。

早いもので1978年の僕らの越高入学から数え、今年でもう40年になる。

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【1978年春の主な出来事】
・アイドルグループ「キャンディーズ」が解散
・成田空港管制塔占拠事件
・巨人開幕戦で新人山倉がスタメンマスク
・巨人開幕戦で四番王が満塁ホームラン
・ヤクルトが「ミルミル」を発売
・超高層ビル「サンシャイン60」が開館
・アフガニスタン紛争勃発
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キャンデイーズ解散当時の思い出

解散翌日の新聞報道



同じくラテ欄
当時はTBSが高校野球決勝を報道していたようで
解散翌日と言うのに3時のワイドショーはお休み



当時はまだ初任給以上に高額だったビデオデッキ



2年次冬の球技大会の合間「えっ?戦後?」のショット。
焚火で暖を採るというなんともな逞しさ。

S54_KYUGIKAI.JPG - 144,803BYTES
S54_Kyugikai.jpg:焚き火で暖 球技大会
 
 

Y君からのメッセージに多数のお便り

「40年目の春に」のY君からのメッセージというかエッセイを読まれた
何人かの同級生から心温まるお便りが届きましたので、紹介しておきます。

H美さんからのお便り:
入学当時のことを思い出して、通勤電車も楽しい時間となりました。
特に関さんと戸塚くんは2人とも軽音で一緒だったので、
関さんの名前を見た途端に彼女の歌声が聴こえてきました。
とっても歌が上手で憧れてました。
話すのも上手で、関さんの周りは笑いが絶えなかった。

戸塚くんの音楽熱は確かに半端なく、彼の提案だったのか、
軽音1年グループで夏休みに軽井沢合宿したのも楽しかった思い出。
絶対に行きたくて、親には学校行事のように話をして行かせてもらったんだ。
親に初めて大きな嘘ついた。

八島くんはアイドルっぽく思ってました。
ホント、いろんな人を思い出しました。

Y君くんの文章はとてもいいですね。

M弓さんからのお便り:
Y君の引き出しは、まだまだあるのかな?
今後もメチャ楽しみだわぁ

S子さんからのお便り:
いいね!
私も入学当時のこと、関さんとの思い出、所さんのコンサートに行ったこと…
いろいろ思い出しました。
40年経つんですね。

O君からのお便り:
40年早いですね。
新潟はちょうど今日、小中学校の入学式です。

早速サイト(焚き火画像)を見た3-4の某女子からのお便り:
「大石君やっぱりカッコ良かったよね!」
※S54_Kyugikai.jpg:焚き火で暖 球技大会 右から3人目が大石君、1人目は戸塚君